Baltic Way 2018を勝手に解いた感想
先日、Baltic Way 2018の問題を解きました。
Baltic Wayとは、毎年11月にバルト海沿岸の国・地域で行われている高校生向け数学コンテストです。制限時間4時間半の間に、20問の問題を1チーム5人で協力して解くという形式です。問題の難易度や質は様々なので、問題の取捨選択が重要となります。
本物に準じて解こうと思いましたが、1人が寝坊したため4人×5時間+1人×1時間半で解答しました。
今年度の問題は以下のURLから入手できます(Baltic Wayの公式ページ。日本語版はもちろんありませんが......)
http://www.pdmi.ras.ru/EIMI/2018/Baltic_way/index.html
以下、1番から順に雑に感想を記します。ネタバレに注意。
個人的に、ネタバレをされると特にもったいないと思うのは4番と6番です。解答を見る前に是非どうぞ。問題の和訳に自信がないので、誤りがあれば指摘お願いします。
Problem 6 を正の整数とする。エルフがの格子点上を動く。 エルフははじめ原点にいる。移動する際には、今いる点からちょうどだけ離れた点にのみ移動できる。移動するのは大変なので、エルフは偶数回目の移動後にはnormalな状態だが、奇数回目の移動後にはstrangeな状態になってしまう。エルフが移動を繰り返すことで、全ての格子点にnormalな状態で到達することができるようなを全て求めよ。
3番
問題用紙を一目見ると目に入る、いかつい不等式問題。見るからに難しそうなので後回しでしたが、3時間半くらい経った頃に考え始めた参加者がいました。問題を易しくした、
4番
関数方程式の問題。序盤に、xが有理数の範囲ではf(x)=0かf(x)=xに限られること、fが微分可能であればその2つに決定することが示されましたが、その後4時間進展がなく、解答できませんでした。この条件式からfが微分可能であることを導くのは難しそう。
模範解答では、無理数の場合は有理数の場合から不等式評価する方針をとっています。つまり、固定された無理数xに対して、xより大きい有理数rについてはf(x)≦f(r)であることと、xより小さい有理数rについてはf(x)≧f(r)であることを示すことで、f(x)=0,xであることを示すやり方です。
5番
面白い問題でした。「fがgeneratingであること」と「φ(x)=xに対してg_1,......,g_kが存在すること」が同値であることにすら気づけなかったのは残念でした。
6番
これはチェスをよくする人なら思いつきやすかったりするのかな?解答を見ると、格子点を市松模様に塗るというアイデアが出るか出ないかが勝負の問題でしたが、考え始めたのが遅かったのもあって思いつくことができませんでした。
ちょっと難しめのパズル問題として面白い問題でした。
8番
証明しなければならないことが特殊で面食らいました。解答を見ると大したことないように見えますが、こういう問題は何をすればいいのか戸惑います。
9番
解けた問題の一つです。大会の結果を見ると点数を引かれているチームが多いですが、少なくとも3点、まあ4点は入る答案を書けた気がします(5点満点)。
証明は2パートに分かれていて、「Olgaが負けることはないこと」「ゲームが無限に続くことはないこと」の2つを示す必要があります。前者はトイレに行っている間に、後者は他の参加者に問題の内容を話している最中に思いつきました。歩いたり、人と話したりすることは大事ですね。
10番
20問の中では群を抜いて易しい問題でした。問題としてもあまり面白くはないかなあ。
11番
幾何と思わせておいて整数の問題。幾何嫌いの参加者が多かったので幾何は放置されがちでしたが、この問題が唯一まともに取り組まれ、解答されました。aとcが互いに素であるという条件をどう使うかがわからず、私自身は30分ほど考えて他の人に投げました。
16番
一番最初に解かれました。すごい。私は解答の査読をしました。
17番,19番,20番
いつの間にか解かれてました。すごい。
18番
フェルマーの小定理を利用したあとの手が浮かばず、ドツボに嵌ってしまった参加者がいました。私も20分くらい溶かしました。模範解答はたった5行で脱力ものです。